「たの研」内沢達のホームページ
TOPへ戻る

TOPページ → たのしい授業・仮説実験授業 → <社会と人間を動かす力学>についての評価と感想



<社会と人間を動かす力学>についての評価と感想


 板倉聖宣さんの論文「社会と人間を動かす力学」(仮説社『たの授』1993年4月号)をもとに、同じく板倉さんの「吹き矢の力学」(『たの授』1997年7月号)に出てくる問題や『ぼくらはガリレオ』(岩波書店、1972年)にある「雨粒の落下速度」の問題を予想してもらいながら、吹き矢については実際に実験をして授業をすすめています。


 鉄球の落下実験や釣鐘の実験については、岡山の佐藤重範さんが製作したビデオを使っています。
 板倉さん、そして佐藤さんに深く感謝します。


 僕の場合は、この授業を一昨年最初3時間(90分×3)かけて、受講者10人ほどの少人数ゼミでおこないました。


 初めてということもあって、試行錯誤もあったのですが、受講学生の感想も良く、授業は成功しました。


 そこで、昨年からは大教室での多人数授業でも、圧縮して、なんと90分1コマの授業でおこなうようになりました。


 以下に紹介するのは、今年(2003年)1月29日に、「教育学T」の授業のなかでおこなったものです。
 授業評価の結果や感想文(縮小コピーして)をB4裏表に印刷して、次週の授業で学生諸君に配布しました。



 授業についての5段階評価の結果は、次の通りでした。5と4の合計が、全体の87パーセントにもなっています。



 5 とてもたのしかった  45人

 4 たのしかった     83人

 3 どちらとも言えない  16人

 2 つまらなかった     2人

 1 まったくつまらなかった 0人



 この度、そのプリントにあった23人分の感想文を大学院生の片岡美穂子さんにワープロ入力をしてもらいました。
 カタちゃんにもお礼を申し上げます。カッコ内は、学部名と5段階評価です。





  鐘を指で動かせるか、という実験で、高校生がとても楽しそうにやっていたのを見て、わたしも高校時代に机にかじりついてばかりの授業ではなく、ああいう授業をしてみたかったと思いました。


  どのような内容に対しても、大人も子どもも興味深々に、そして楽しそうに取り組める点で、本当に仮説実験は良いと思います。( 農−4 )




  久しぶりの仮説実験でおもしろかったです。
「継続は力なり」「骨折り損のくたびれ儲け」「押してもだめなら引いてみろ」の3つの教訓を大事にしたいと思います。( 農−4 )




 ストローにつまようじを入れる部分やストローの長さによってつまようじがとぶキョリが違うなんて思ってもいませんでした。


 力学についてはくわしくないし、今まで学ぼうとも思わなかったけど、今日のような授業はやっぱりおもしろくて、少し力学に興味を持ちました。( 農−5 )




  えっ「力学」からその方向にもっていくの? という感じで授業が進んでいったような気がします。


人も物と同じといってしまったら誤解されるかもしれないけど、友達関係があやしくなってきたとき、あいさつさえしてもらえなくて、何回も声をかけるが無視。


 だから、少しほっておいて、相手から声をかけてくるのをまっていたことを思い出しました。
人を見て今どうするべきか考えて行動しようと思います。( 水産−5 )




  雨粒の落ちる速度は大きさによって違うのかなんて今まで考えたこともなかった。
これからは雨が降る度に思い出すと思う。



  動かないように見えて、実は動いているのかもしれないということを忘れずに、人と接していくことが大切だと思った。( 法文−4 )




 僕は物理科なので、特に興味がわいた。雨の問題はまちがってしまった。
よく考えるとわかることだったのに。今日のプリントには力学のことが書いてあった。


 たしかに力学の根本的な原理はそういうことになるかと思った。高校の頃から、力学といえば問題を解いてばかりだった僕にとって、この話はすごく新鮮であり、虚をつかれた気分だった。


ちょっとだけ、勉強や専門に対しての意識が変わったかも。( 理−5 )




  釣鐘を小指で動かす時の方法に興味をもちました。
ゆっくり押しつづけて、押し返してきたら押すのをやめて、止るのをまつ。


そしてまたゆっくり押す。これをくり返す。これが、人間関係にもあてはまることに、また興味をもちました。( 農−4 )




  今日の社会と人間の力学の3つの法則は、本当にその通りだなと思った。
特に人間の心を動かすには、押してばかりではだめで、引いてばかりでもだめで、たまには休憩することも必要で、相手の動きを見てまた自分も動きだしたりと、この3つの法則がピッタリだと思った。( 農−4 )




 今日の授業で行ったストローの実験はとても楽しかった。
くぎがささってしまうほどの力が、道具と条件によって人の息で可能になるなんて、力学はすごいと思った。


 小さな力でも、その力を長時間加えていけば、相手を動かすことができる、まさに継続は力なりという言葉は、力学だけでなく、教育にもあてはまるということに感動した。


 また、押してだめなら引くというように、こちらの法則だけでなくあいての法則性に従っていくという教訓を大切にすれば、相手のことがより見えてくるものなのだなと思った。( 法文−4 )




  最初の雨粒の大きさ速度の問題は、普通に考えてみればでっかい雨は勢いよく落ちてきて、霧雨みたいなのはゆっくりって分かるはずなのに、「重さが違っても速さは変わらないんだぞ、実は!」みたいな変な過剰な間違いを持ってる自分に気づかされた。


真空とかそういうものもゴッチャになっていた。( 農−4 )




  今日は質問の答えが自分の予想と全部当たっていたのでうれしかったです。
おまけに前に出てストローで吹く役にも当たり、今日はよく当たる日でした。



  確かによく考えてみると力学という分野は人間関係でのことに当てはまります。恋愛においても「押してダメなら引いてみろ」とか言いますしね。


教師と生徒の間にも、この力学を応用して“イイ関係”が築けるといいなと思います。( 法文−5 )




 つまようじがあんなに飛んでいって、びっくりしました。
ストローをつなげただけであんなに距離が違ってしまうとは予想がつきませんでした。



 アルミ管で釘を飛ばすと、息だけの力でダンボールも突き刺さるのかと思うと吹き矢って恐いなと思ったし、昔の人は力積とかの概念は知らないハズなのに、こんな道具を作り出すなんてスゴイ!と感心しました。


  また、人間関係にも力学の法則をあてはめて、無駄なストレスは貯めない様にしたいものだと思いました。( 農−5 )




  物理的な現象からも教訓として学びとれることがあるんだなぁと思った。


  あと、今回だけでなくこの授業を受けてきて、自分がどんどん単純な発想ができなくなってきていることに気づいた。


  教師と生徒の関係は一方的なものでもないし、あせって築こうとするものでもないのだと思った。
 教師が生徒に及ぼす作用と、生徒から教師に及ぼす作用で成り立っているのだと思った。( 農−5 )




  今日は授業の題を聞いたとき『力学』とあったので、難しいのかなと思った。
すると科学的な法則が人間社会にも適応しているというものでありおもしろかった。


 動かないとわかっているものをいくら力で押しても動くはずもなく、それは意味のないこと。
これを生徒と教師の間におきかえてみると、子どもが話を聞き入れられないような状態にあるとき、いくら教師が話したり、指導しても無駄である。


 そういうときは、時間をおいて話すことが大切だと釣り鐘から教えてもらった不思議な授業だった。( 水産−4 )




  久しぶりの仮説実験授業で面白かった。


  物理学的な考えが生活する上での考えの幅を広げるものになるとは驚きだった。


  今日の社会でがんばれ、努力せねばなどの言葉をよく耳にするが、相手との調和がうまく取れていなかったり、よいタイミングではない時にいくら努力しても無駄なことは、改めて納得した。


そういう考えももっておかないと日々疲れそうだ。( 農−5 )




  雨の問題はやられた、という感じでした。
確かに空気がなくては、何もおこらないですよね。


 前、真空状態で、羽と何か重いものを落とすと落下速度が同じ、だという実験を見た記憶があったのですが、雨はだいたいそんなところで実験できませんよね。



 今日は、すごい発見をした気がしました。( 農−4 )




  体格がいい人も、小さい人も吹き矢が飛ぶ距離はあんまり変わらなかった。


僕は体が大きければ大きいほど矢が飛ぶと思っていたのに意外な結果に終わったので不思議だった。
( 法文−3 )




  ひさびさの仮説実験授業はとても楽しかった。
最初の1問しか当たらなかったけど、答えの説明がわかりやすく、納得できた。



  物理は大大嫌いで、全然わからなかったけど、力学はちょっと理解できてうれしい。


  私は今までの授業で小原先生ばかり注目してきたけど、考えてみたらこの仮説実験授業を考えた板倉先生は本当にすごい人だと思う。


 おもしろくて、わかりやすく、勉強になる仮説実験授業は子どもだけに受けさせるのはもったいないとちょっと思ってしまった。
( 農−5 )




  大きな鉄球と小さな鉄球の速さを比べる実験は、同じ速さであると予想しました。
物理の時間に同じような実験をした時のことを思い出したからです。


 しかし、ビデオを見ると、はっきり速さの違いが分かりました。今まで間違った結果を信じていたので驚きました。


 この講義では驚かされることがいっぱいです。
もっと正しい知識をもちたいと思います。
( 理−4 )




 ストローとつまようじを使った実験は大変興味深かった。
また、「小さな力でも、その力を長時間くわえ続けて力積を大きくすれば、相手を大きく動かすことができる」とわかり、勉強になった。



  あと、教師は生徒にすぐに結果を求めないという点に深く同感し、良い人間関係をつくれるきっかけになると感じた。( 農−4 )




 僕は物理科学科だけど力学が社会や人間の内面的な部分にも通用できることがスゴイと思った。
 物理を学んでいることに誇りが持てた。
これからも物理をもっと理解していきたい。( 理−5 )




  吹き矢の口に近い方が遠くまでとぶとは思いませんでした!!
それから、箱にささったのにびっくりしました。


 力学というむずかしいイメージのものをちょっと身近に感じることができたと思います。( 農−5 )




  「継続は力積なり」ということがピッチャーの「長く球をもつ」ことの意義だということを知れて、「なるほど」と納得した。


 今日学んだ力学について、社会生活でもすべて応用できるということが何だかうれしかった。勉強は楽しく、そして実用的であるべきだと改めて思った。
 とても楽しかった。( 法文−5 )




このページの一番上に戻る→


2002年度後期「仮説実験授業」全体を通しての評価と感想へ←

 / TOPページへ→ / 「たのしい授業」評価・感想(02年度前期)へ→


Last updated: 2003.9.21
Copyright (C) 2002-2003 「たの研」内沢達のホームページ