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水晶や戦跡、坊津・車岳


2023/2/28



よっこさんのYAMAP記事・坊津アルプス(1/9)を拝見して、車岳はめずらしい水晶洞窟が見られ、
また戦跡もたくさんあったりするので、僕は、是非行きたいと思っていた。
その思いを察してくださり、我々の山のお師匠・厚子さんは、「じゃー、行きましょうか」とおっしゃった。
車2台で行って1台は草野岳下山口に置き、丸木崎登山口から登って、車岳・草野岳を縦走しようと。

ありがたいことです。でも、待ってください。そのコースは、我々にはちょっと、特にトモちゃんには
きついので、縦走ではなく、水晶や戦跡を確かめられる丸木崎から車岳までにしませんか、
とお願いして
ご了承いただいた。そうした結果が今回の山行である。

七ツ島ふるさと物産館前の駐車場で待ち合わせ、厚子さんの車に我々も乗せてもらって出かけた。、
おかげさまで登山だけでなく、行き帰りの車中での会話も楽しむことができました。

いつものことながら、厚子さんがいっしょだとトモちゃんの安心感がちがい、山がいっそう楽しくなる。
加えて今回は、坊津アルプス・ルートを開拓、整備された畑田智明さんのことも教えてもらい、
この山に愛着を深めることができた。厚子さん、本当にありがとうございました。

では、みなさま、写真をご覧いただきたいと思います。


3/8 たっちゃん




この日のYAMAPの軌跡と記録。距離5.1㎞。上り487m、下り488m



9:02 「坊津歴史資料センター輝津館」前より車岳(右、357m)を望む。
左端の法面横から登山開始。左のピークは標高186mのクリスタルピーク。
下りは途中林道を東に移動し、右手の尾根筋を下った。



9:26 出発 9:28 ここから入山



9:34 法面の上からの眺め。突端は丸木崎展望所



9:46 9:52 ここはさほど急登ではないが、随所にロープが張られていた。
畑田さん、ありがとうございます!



9:55 最初のお目当て水晶洞窟





















10:08 クリスタルピーク(186m)



10:11 少し下って… 10:16 また上る



10:33 林道に出て… 10:35 250mほど東に移動



↑ この林道のあたりが、最後に紹介する梅崎春生の小説『桜島』の冒頭に出てくる「峠」だと思う。



10:45 ここからまた登山道に入る



10:49 アオノクマタケラン(青野熊竹蘭) 10:53 …の群生地を行く



11:02 このあたりから戦跡の説明が目立ちます。とてもありがたいことです 11:03 水槽(施設跡)



11:26 11:27



11:34 指揮所跡



11:35 トモちゃんは怖くて続けません 11:36 厚子さんにスマホで照らしてもらいました。
コウモリが何羽(何匹)ぶら下がっているでしょうか?



11:43 山頂手前の見晴らしのいいところ。街並みは枕崎市街地。開聞岳が素晴らしい(東南東の方向)



レーダーの説明 11:52 車岳山頂からの眺めは樹間のみ



11:53 このかわいらしいプレートは畑田さんの奥さんの作品だそうです



11:54 見張所跡の説明 12:01 山頂の向こうに下る



12:14 車岳山頂から、標高差70mくらい下ってきた。北側の久志湾の眺め



12:16 この大岩の上で昼食



12:52 昼食休憩後、再出発前。右手奥は野間岳、その斜め前は今岳



13:06 車岳山頂へ上り返し 13:09 再び山頂。ここから下山開始



13:19 上りのときはここは通らなかった



13:19 一つ上の写真と同じく車岳の南側。手前が泊浦、向こうが坊浦。その間、写真中央が朝、車岳の写真をそこから撮った輝津館のところ



13:19 好天で暖かい登山日和の一日でした



13:27 上りの時は、この写真を撮り忘れた



13:52 アオノクマタケランの花を見てみたい 13:56 林道にもどってきた。上りは右手から来て、今回の下りは左手に



14:04 林道を離れて、ここから下る 14:05 このようにかなりの急傾斜もあった



14:17 尾根筋を下る 14:24 落花まもないヤブツバキ



14:39 この階段を下ると登山口。右の写真のように… 14:44 …国道226号に接する。この後、旧道を30分弱歩いて出発点にもどる



15:10 丸木崎展望所が見えるとゴールは近い 15:13 丸木崎登山口にもどってきた



15:26 丸木崎展望所から望む丸木浜。後景は野間岳や今岳(右端)



15:29 生けすはハマチの養殖。水平線を少し右に視線を移すと…



15:29 右端にぼんやりと島影が…。三島村の黒島だという
展望所にいたオジサンが教えてくれた。ありがとうございました。

厚子さんとトモちゃんは、この黒島が見えると言う。
僕にはまったく見えず、写真に撮って、そのうえ拡大しないとわからない。
加齢によるもので仕方ない。医者は白内障の手術はもう少し先にしましょうと言ってくれている。





帰りの立ち寄り湯も厚子さんに案内してもらった。枕崎市のなぎさ温泉だ。露天がとても気持ちよかった。
後で、厚子さんから「夕日が当たって立神岩がきれいだったでしょ」と言われたが、僕は気づかなかった。
僕は、この日の登山に満足して、ただボーっと湯船につかり、海や山並みを眺めているだけだった。
枕崎と言えば、そのシンボルは立神岩なのだが、意識していたとしても、なぎさ温泉からは遠く、
温泉で眼鏡をかけていなかった僕には、そもそも見られるものではなかったように思う。




途中で記したように、最後に梅崎春生『桜島』の冒頭部分を紹介したい。

暗号員(兵曹)の主人公は、桜島に転勤を命ぜられるまで、まさにここで軍務に服していた。


 「七月初、坊津にいた。往昔、遣唐使が船出をしたところである。
その小さな美しい港を見下す峠で、基地隊の基地通信に当っていた。私は、暗号員であった。
毎日、崖を滑り降りて魚釣りに行ったり、山に楊梅(やまもも)を取りに行ったり、
朝夕峠を通る坊津郵便局の女事務員と仲良くなったり、よそめにはのんびりと日を過した。
電報は少なかった。日に一通か二通。無い時もあった。此のような生活をしながらも、
目に見えぬ何物かが次第に輪を狭(せば)めて身体を緊(し)めつけて来るのを、
私は痛いほど感じ始めた。歯ぎしりするような気持で、私は連日遊び呆(ほう)けた。
月に一度は必ず、米軍の飛行機が鋭い音を響かせながら、峠の上を翔(かけ)った。
ふり仰ぐと、初夏の光を吸った翼のいろが、ナイフのように不気味に光った。」



この主人公は、桜島でひと月あまり軍隊生活を送り、敗戦の日を迎える。




ここまでご覧くださって、ありがとうございました。






2日前の山行、2023/2/26「土日だと近い甑岳」 は こちら →



枕崎市街地を一望、立神岩も小さく見える 2022/3/9「園見岳」 は こちら →





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初出:2023.3.8   最終更新: 2023.5.29

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