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シラバス2005

「たのしい授業と教育の諸問題」


前期 水曜日2時限 後期 水曜日2時限

授業概要

たのしい授業の実際例としては、「磁石の魅力」「ものとその重さ」「月の満ち欠け」「世界の国旗」「おおかみ」「ふんすい」「世界と日本の青年の意識」などを紹介します。それらの授業では、毎回、いくつかの問題に予想を立ててもらいます。


 教育の諸問題のなかでは、とくに登校拒否についての講義に時間を割き、ある種の「ことわざ・格言」=発想法を意識的に適用すると、いままで見えていなかったことがよく見えるようにもなり、〈ものごとはさまざまに考えうる〉ということを実感してもらえたらと思っています。


授業方法として、ビデオや小道具も使います。一方通行にならないように、授業中、学生のみなさんの発言をお願いします(言いたくない時や言うことがない時は「パス!」で、OKです)。
 何度か簡単な授業評価や感想文をお願いします。


学修目標

 知らないことを知ることは楽しい。意外なことを知ることはもっと楽しい。原理的・法則的なことを知ることはさらに楽しい。


 ところが、学校の授業は、だいたいにおいて「つまらないもの」というのが相場です。個人の努力によって、「勉強して分かるようになったから楽しい」、また「成績が上がったからうれしい」ということはありますが、学校で学ぶこと、授業自体が楽しいということはあまり聞きません。


 しかし、これからの学校教育、とくに教養教育は、「たのしい授業」の創造なしにはその活性化が期待できないでしょう。


 この授業では、板倉聖宣さんが提唱した仮説実験授業をはじめとして、たのしい授業の実際を知ってもらい、あわせて「登校拒否(不登校)」や「いじめ」などの教育の諸問題を新しい視点から考えていただきます。


授業計画

 授業は大きく前半(たのしい授業)と後半(登校拒否やいじめ問題の考え方)に分かれます。
 最後に、その二つは基本的な考え方において共通しているものがあることをわかってもらおうと思っています。


 1.現在、日本で発行されているお金のなかで磁石にくっつくものはあるか?
 2.好きな「ことわざ・格言」はどれか
 3.頭がいいから間違える
 4.1億分の1のスケールで考えてみよう
 5.社会にも法則がある
 6.言葉と表現することの楽しさ
 7.登校拒否は暗い話題か?
 8.いまの子どもたちはスバラシイ
 9.長所は反対側の欠点によって支えられている
 10.最後にだますのは自分
 11.「なのに」と言ったら「だから」
 12.束縛によって得られる自由もある
 13.先の見えすぎお先真っ暗、いまを生きる


受講要件

 この講義に、むずかしいことはなにひとつありません。
「そのままの君で!」参加してください。


教科書

 なし。計50枚ほどのプリントを講義資料として使います。


参考書

 板倉聖宣「未来の科学教育」(国土社)ほか50数点を開講時に提示します。


評価基準・方法

 
授業への出席・参加状況と期末試験をもとに評価します。
(「なんで不合格なの?」など、評価に対する質問や異議申し立ては遠慮なく、しかしただちに行なってください。教員には説明責任があります。)


オフィスアワー

 昼休み時間や講義の空き時間など、「たの研」(共通3号館4階)を訪ねてください。


その他

「本を読んでよくわからなかったら、自分の頭が悪いと思うな。その著者の頭が悪いと思え」(板倉聖宣)。
たのしい授業関係の本がたくさん(100冊以上)付属図書館にあります。
生協書籍部にも常時、数十冊は並べてもらっています。イイ本と出会ってください。



「仮説実験授業」

 後期 木曜日2時限

授業概要

 この授業では、内沢が担当するもう一つの教養科目「たのしい授業と教育の諸問題」では扱わなかった仮説実験授業の授業書を取り上げます。


 〈仮説実験授業〉とは、科学上のもっとも基本的な概念と原理的な法則を教える授業です。


 1963年に板倉聖宣さん(もともとは物理学史など科学史が専門の方)によって提唱され、その後着実に領域を広げてきました。今では自然科学のみならず、社会の科学や数学・国語・道徳などについても、小学生から大人まで誰もが楽しく学ぶことができるたくさんの(100を超える)「授業書」があります。


 科学や学問は「ムズカシイ」「フツーの人には容易に分かりえない」といった受けとめ方が広くあります。それは科学や学問の組み立て方や教育の仕方に起因しています。そこで、それらの全面的な改革を意図して、〈仮説実験授業〉が提唱され、研究が続けられてきました。


学修目標

 人は誰しも知的好奇心をもっています。知らないことを知ることはウレシイし、楽しいことです。また、ただ知らないことを知るというよりも、意外なことを知ることはもっと楽しいことです。進んで、原理的・法則的なことを知ることはさらに楽しいことだと思います。


 きっと、この授業でそういった楽しさを実感してもらえるものと思っています。
 毎回、予想問題がありますので、授業時間中は頭のノーミソをいっぱいに使ってください。


 この授業を通して、科学や学問・教育についてのイメージを新たなものにしていただけたらと思っています。また、〈仮説実験授業〉を通して、「科学している」「学問している」自分のスバラシサも発見してください。


授業計画

 以下の内容で、〈仮説実験授業〉を徹底的に楽しんでもらいます。


 1.「自由電子が見えたなら」
 2.「もしも原子が見えたなら」
 3.「生類憐れみの令」(2週連続)
 4.「2倍・3倍の世界」
 5.「光と虫めがね」
 6.「程度の問題」、「パタリン蝶」のものづくり(工作)もします。
 7.「ものとその電気」(2週連続)
 8.「お金と社会」(2週連続)
 9.レポートをもとに、「授業における“たのしさ”の意義」について、ディスカッション(「闘論」)をおこないます。
 10.「誰もが30分で回せるようになる“簡単!皿回し”講座」(皿回しは人間関係!)もおこないます。


受講要件

 この授業には、予備知識はいっさい不要です。
「科学、大好き!」、「いや科学は苦手!」という方、ともに大歓迎です。


教科書

なし。主な教材は、毎回配布する。「授業書」のプリント。


参考書

 板倉聖宣『科学的とはどういうことか』(仮説社)、同『日本史再発見』(朝日新聞社)、塩野広次『頭がいいからまちがえる』(民衆社)など。


評価基準・方法

授業への出席・参加状況とレポート。


オフィスアワー

 昼休み時間や講義の空き時間など、「たの研」(共通3号館4階)を訪ねてください。


その他

受講制限(30人)があります。受講希望者が多く抽選に洩れた場合でも、レポートの提出があれば受講できます(掲示に注意!)



「教育学T」

 前期 月曜日2時限  後期 月曜日2時限


授業概要

 「教育や学校の主人公は子どもたちである」。たいへん結構な考え方ではないでしょうか。この考え方(それ自体)に反対する人はそういないと思います。


しかし、それは実際のところどのような教育なのか?ということになると、人によって内容の理解は違ってきます。具体的に聞いてみるとそれは「願い」や「想い」にとどまっていて、実際には子どもが全然〈主人公〉になっていない教育も少なくありません。


 本講義では、授業という、子どもたちの学校生活のもっとも中心的なところで〈子どもが主人公〉の教育をとことん実現している〈仮説実験授業・たのしい授業〉の実際を紹介していきます。


 また、教師が学校で遭遇する生徒指導上の諸問題を取り上げ、ルソーの「消極教育」論の意義に言及しながら、〈たのしい「生活指導」〉についても講義します。


学修目標

 教師の一番の仕事・役割は、イイ授業をすることです。「学級崩壊」などを「授業以前の問題」として論じられることがありますが、それも根本は「授業の問題」です。イイ授業ができるようになるためには、優れた「授業書」「授業プラン」から貪欲に学ぶことが一番です。


 「子どもの状態を尊重すること」「他に害をおよぼす行動は即妨げるが、指導は急がないこと」など、子どもたちの安全と安心を確保する「生活指導」の諸課題についても理解してもらいます。


 学校教育に関するこれまでの「常識」を問い直し、教育と教師のありようについて、新しい発見をしていただきたい。この講義を受けたからこそ、「教師になりたいと強く思うようになった」、さらには「目指す教師像がはっきりとしてきた」ということになれば言うことありません。


授業計画

 授業は次の全13回を予定しています。カッコ書きしているのは、授業書(授業プラン)のタイトルです。

1.ルソーの教育論から学ぶ
2.「空気の重さ」
3.「社会と人間を動かす力学」
4.「指揮者のミス」
5.「図形と証明」
6.小原茂巳さんのビデオ・たのしい授業
7.たのしい生活指導−その1
8.たのしい生活指導−その2
9.たのしい生活指導−その3
10.「虹は七色か六色か」
11.少年犯罪を考える
12.生徒の目・教師の目
13.まとめの授業


受講要件

教職を目指している人、教育のことについて勉強したい人ならば、誰でも受講できます


教科書

教科書ではありませんが、小原茂巳『たのしい教師入門』(仮説社)が必読図書です。


参考書

仮説社『たのしい生活指導』、板倉聖宣『たのしい授業の思想』(仮説社)など


評価基準・方法

授業への出席・参加状況と期末試験






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the last update: 2005.6.9
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